我が家は、世帯主である私とタイ人の妻、そして二匹の猫で構成されている。日本語・タイ語・英語、さらに猫語までが家の中を飛び交う、なかなかにカオス……いや、毎日が明るくにぎやかな暮らしだ。妻が英語とタイ語を織り交ぜて話しかけ、私が英語9割日本語1割で返し、そこへ猫たちが「ニャッ」と会話に割り込んでくる。異文化交流と言えば聞こえは良いが、実際は単にわちゃわちゃしていて、それがまた心地よい。
今回は、そんな我が家の中心的存在である二匹の猫について紹介したい。彼らの存在が、日々の生活にどれだけの癒しと笑いを運んでくれているかを書いてみようと思う。
—
■ 我が家の主役:ソムタムとカオニャオ
まず、一匹目は「ソムタム」(白に黒い模様のついた猫)。タイ料理の青パパイヤサラダの名前から取った。保護猫で、食いしん坊で、甘えん坊で、そしてちょっとトラブルメーカーでもある。
そんなソムタムには忘れられない事件がある。ある日、ふとした隙に家から脱走してしまったのだ。探しても探しても見つからない。ポスターを貼ったり、SNSに投稿したり、できることは全部やった。それでも帰って来る気配がなく、私たちは半ば希望を失いかけていた。
しかし約2ヶ月後、本当に奇跡のように再会できた。見た瞬間、涙があふれた。あの時の感動は、今でも鮮明に覚えている。
—
■ 新入り・カオニャオ(キジトラ)が家族になるまで
ソムタムの捜索が難航していた時、縁あってもう一匹の保護猫を迎えることになった。それが「カオニャオ」。タイ語で“もち米”という意味だ。ソムタムが戻る望みが薄い中、寂しさを紛らわすように迎えたのだが、その数週間後——まさかソムタムが帰って来るとは。
結果として、ソムタムからすると「久しぶりに帰ってきたら、知らないヤツが家にいる!」という状況だ。実際、初対面は最悪。お互い威嚇し合い、本気の猫パンチが飛び交う、まさに修羅場のような光景だった。
しかし時間とは不思議なもので、気づけば少しずつ距離が縮まり、ある日ふと見ると、お互いをペロペロ舐め合って毛づくろいをしている仲にまで変わっていた。オス同士なのに、兄弟のように寄り添い、時にはくっついて昼寝をしている。こうなると、喧嘩していた頃が嘘のようだ。

—
■ 猫と暮らすという幸せ
猫との生活は、想像以上に多くの幸せをもたらしてくれる。仕事で疲れて帰ってきても、玄関までトコトコ迎えにきてくれる。休日、ソファに座っていると、いつの間にか膝に乗って眠り始める。そのぬくもりだけで心が満たされる瞬間がある。
日本語・タイ語・英語が混ざった我が家の会話に、猫たちの「ニャー」が自然に割り込んでくる。その光景を見るたびに、「あぁ、この家に帰ってくるのが好きだ」と感じる。
文化も言語も生まれた国も違うけれど、猫たちはそんな境界線とはまったく無関係。彼らなりのやり方で、私たちを繋ぎ、日常を温かくしてくれている。
これからも、この“3か国語+猫語”の暮らしを楽しみながら、家族みんなでにぎやかに生きていきたい。


コメント