【2025年版】日本の長い道路トンネルランキング|山国が生んだトンネル技術とは

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日本は島国でありながら、その陸地の70%が山地という超・山国だ。平地は限られ、街と街を結ぶにはどうしても山を越える必要がある。だが、昔のように峠を越えていたら物流も都市間移動も成り立たない。そこで日本が磨き上げてきたのが「トンネル技術」。鉄道も道路も地下水道も、日本の生活の裏側には膨大な数のトンネルが走っている。

気づけば、日本は世界的にも有名な“トンネル大国”になっていた。

■ 山だらけの国が生んだ技術

日本は地震大国であり、火山大国でもある。地層は複雑で、硬い岩盤もあれば、もろい地盤もある。地下水も多い。そのため、トンネルを掘る際には世界のどの国よりも慎重な設計が必要になる。

にもかかわらず、いや、だからこそ日本は高度なトンネル技術を発展させてきた。

新幹線、首都高速、地方の山間道路、地下鉄……。どこへ行ってもトンネル、トンネル、またトンネル。日本では数え切れないほどのトンネルが日常の交通網を支えている。

■ トンネルの作り方:意外とバリエーションが多い

トンネル工法といえば「爆破して掘る」イメージがあるかもしれないが、実際には地形や地盤の強度によってさまざまな工法が使い分けられている。

● NATM(ナトム工法)

日本の山岳トンネルで一般的な工法。

山の地盤そのものを“構造体”として利用し、鉄筋やコンクリートで補強しながら前に進む。地盤の状態を見ながら、その場で柔軟に施工を調整できるのが特徴で、日本の複雑な地質と相性が良い。

● シールド工法

地下鉄や都市部の道路トンネルで多用される。

巨大な丸いカッター(シールドマシン)が地中を掘り進み、同時に壁となる部材を設置していく方式。地上への影響が少なく、住宅街の下を通すときによく使われる。

● 開削工法(かいさく)

地面を一度大きく掘り、その中にトンネルを作ってから土を戻す工法。

地下鉄の浅い区間でよく使われる。道路が長期間ふさがるため、都市部では慎重に計画される。

日本のトンネルは、こうした工法を組み合わせながら安全性を高めている。

■ トンネルの横にある「もうひとつの穴」は何?

高速道路のトンネルを走っていると、メインのトンネルの横に細いトンネルが並行しているのを見かけることがある。実はあれ、**避難用トンネル(避難坑)**だ。

火災や事故が起きた際、車が脱出しやすいように設けられた緊急通路で、一定距離ごとに扉があり、横に逃げられるようになっている。トンネル事故は煙が充満すると一気に視界を奪われるため、避難坑の存在は命を守るために欠かせない。

実は、道路単独ではなく上下線それぞれを別のトンネルにするのも、安全性を高めるための設計だ。片側で事故や火災が起きても、反対側へ逃げられるようになっている。

■ 日本の長い道路トンネル BEST3

1位:山手トンネル(首都高速中央環状線)

長さ:約18.2km

解説: 圧倒的1位。日本一長い道路トンネルであり、世界でも第2位という超巨大規模。

2位:関越トンネル(関越自動車道)

長さ:約11.1km(下り線)

解説: 山岳道路トンネルとしては日本最長。新潟と群馬をつなぐ大動脈。

3位:飛騨トンネル(東海北陸自動車道)

長さ:約10.7km

解説: 湧水、崩落リスク、複雑な地山など、多くの困難を乗り越えた難工事として有名。

■ トンネルが日常を支えている

普段の生活で意識することは少ないが、山が多く、地盤が複雑で、災害が多い日本で移動がスムーズに行えるのは、トンネル技術の進化があるからこそ。

出張で乗る新幹線も、運転中に通る高速道路も、当たり前のように山を貫いている。

言い換えれば、日本人は毎日のように“人工の洞窟”に出入りしているというわけだ。

山国だからこそ磨かれた日本のインフラ技術。

トンネルはただの穴ではなく、日本の生活の裏側を支える巨大な人工血管のような存在だ。


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